『神様からひと言/荻原浩』
今回は、荻原浩著「神様からひと言」です。
早速、簡単に紹介していきます。
1.作品情報
著 名:神様からひと言
著 者:荻原浩
出版社:光文社文庫
発売日:2005/3/20 ※文庫本の初版発行日
頁 数:442ページ
こちらは、直木賞作家の荻原浩さんによるサラリーマン小説です。
2006年に、WOWOWにて伊藤淳史さん主演で実写化されています。
2.あらすじ
大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉涼平。入社早々、販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所と恐れられる「お客様相談室」へ異動となった。クレーム処理に奔走する涼平。実は、プライベートでも半年前に女に逃げられていた。ハードな日々を生きる彼の奮闘を、神様は見てくれているやいなや……。サラリーマンに元気をくれる傑作長編小説!
「神様からひと言」裏表紙より引用
主人公の涼平が「お客様相談室」に異動となるところから、物語が進んでいきます。
「お客様相談室」での涼平の奮闘ぶりとユニークな同僚が、見どころです。
働く人に元気をくれる作品です。ぜひ読んでみてください。
3.こんな人におすすめ
- お仕事小説が好き
- サラリーマンの方
4.感想
ここからは、私の正直な感想を綴ります。
個人の感想なので、共感していただけないこともあるかと思いますが、ご容赦ください。
また、ネタバレや、ネタバレと感じられる内容が含まれていますので、ご注意ください。
私自身もサラリーマンですが、サラリーマンは切ない存在だなと思いました。
組織や上司に不満があっても、保身を考えてしまいやり過ごしてしまうという経験は多くの方がお持ちではないでしょうか。
そんなときに感じるやり切れなさを、涼平が代わりに吹き飛ばしてくれたような気がしました。
「お客様相談室」の面々もユニークなのですが、中でも篠崎が格好いいですね。
肩肘張らず、もっとリラックスして仕事に取り組めばいいんだと教えてもらったような気がします。
さすがに現金を横領したりはできませんが。
強いて言えば、神様やリンコの存在感がやや希薄だったかなと感じました。
神様やリンコの話がないと物語の幅が狭くなってしまうかもしれませんが、篠崎をもっと深掘りした方がサラリーマンの悲哀がより感じられて、物語の深みが増したのかなと、素人ながら生意気に思ってしまいました。
あと、本作の単行本は2002年に刊行されたようですが、PCでプレゼンをするのが新しいこととされていたり、PCを使える人材が重宝されていたりするのには、時代を感じました。
PCが一般的でなかった時代はどのように仕事をしていたのかな・・・と気になってしまいました。
書かれた時代の背景が垣間見えるのも、小説の面白いところですよね。
明日からの仕事もがんばろうと思わせてくれる作品でした。
以上、『神様からひと言/荻原浩』の紹介と感想でした。