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『罪の轍/奥田英朗』

今回は、奥田英朗著「罪の轍」です。

早速、簡単に紹介していきます。

 

1.作品情報

著 名:罪の轍

著 者:奥田英朗

出版社:新潮文庫

発売日:2022/12/1 ※文庫本の初版発行日

頁 数:835ページ

 

こちらは、実際に発生した「吉展ちゃん誘拐事件」をモチーフに描かれた小説です。

この事件のことを知らない方は、調べないで本作を読んだ方がいいかもしれません。

ちなみに奥田英朗さんの別の小説『オリンピックの身代金』に登場した人物たちも、本作に登場します。

 

2.あらすじ

昭和三十八年十月、東京浅草で男児誘拐事件が発生。日本は震撼した。警視庁捜査一課の若手刑事、落合昌夫は、近隣に現れた北国訛りの青年が気になって仕方なかった。一刻も早い解決を目指す警察はやがて致命的な失態を演じる。憔悴する父母。公開された肉声。鉄道に残された”鍵”。凍りつくような孤独と逮捕にかける熱情が青い火花を散らす――。ミステリ史にその名を刻む、犯罪・捜査小説。

「罪の轍」裏表紙より引用

東京オリンピック(1964)の前年を舞台に発生した誘拐事件を巡ってお話が進んでいきます。

なぜ誘拐事件が起こったのか、その結末はどうなるのかが、見どころです。

ちなみに、私は奥田英朗さんの小説が大好きで、本作ものめり込んでしまいました。

ただ、私の好み云々ではなく、おすすめできる小説なので、ぜひ読んでみてください。

 

3.こんな人におすすめ

  • ハラハラドキドキする話が好き

 

4.こんな人には向いていないかも?

  • 長い小説が苦手

 

5.感想

ここからは、私の正直な感想を綴ります。
個人の感想なので、共感していただけないこともあるかと思いますが、ご容赦ください。
また、ネタバレや、ネタバレと感じられる内容が含まれていますので、ご注意ください。

私が奥田英朗さんの小説が好きというのもありますが、本作もかなり引き込まれてしまいました。

大げさかもしれませんが、まるで私自身が昭和38年に生きていて、この事件をニュースで見ているような感覚になりました。

それだけに、事件の結末は何ともやりきれないですね。

本作は実際に起こった誘拐事件をモチーフにしていますが、このような事件を目の当たりにした当時の世間のみなさんはどのように感じたのでしょうか。

 

人はなぜ犯罪を犯すのか、答えは千差万別だと思いますが、寛治のような人もいそうですよね。

その動機には、不条理を感じずにはいられませんが、事件は起こるべくして起こったのだと感じました。

現代でも、事件の中身は別にして、このような犯罪が起こっているのかもしれないと思うと、ゾッとします。

 

ちなみに『オリンピックの身代金』から、刑事たちだけでなく村田が登場しているのは奥田英朗ファンとしてはうれしい限りですね。

本作も存分に楽しむことができました。

以上、『罪の轍/奥田英朗』の紹介と感想でした。