『空飛ぶタイヤ(上)(下)/池井戸潤』
早速、簡単に紹介していきます。
1.作品情報
著 名:空飛ぶタイヤ
著 者:池井戸潤
出版社:講談社文庫
発売日:2009/9/15 ※文庫本の初版発行日
頁 数:(上)471ページ、(下)430ページ
こちらは、実際にあった大手自動車メーカーのリコール隠し事件をベースにしているお話です。
池井戸潤さんの世界観を存分に楽しめる内容になっています。
2.あらすじ
走行中のトレーラーのタイヤが外れて歩行者の母子を直撃した。ホープ自動車が出した「運送会社の整備不良」の結論に納得できない運送会社社長の赤松徳郎。真相を追求する赤松の前を塞ぐ大企業の論理。家族も周囲から孤立し、会社の経営も危機的状況下、絶望しかけた赤松に記者・榎本が驚愕の事実をもたらす。
「空飛ぶタイヤ(上)」裏表紙より引用
主人公、赤松徳郎が絶望的な状況に追い込まれるところから話がスタートします。
赤松は大企業を相手にどう立ち向かっていくのか、また、赤松を取り巻く人間関係はどうなっていくのかが、見どころです。
半沢直樹が好きな方は本作も気に入ると思いますので、ぜひ読んでみてください。
3.こんな人におすすめ
- 大きい権力に立ち向かっていくような話が好き
- お仕事小説が好き
4.こんな人には向いていないかも?
- 予定調和な話が苦手
5.感想
ここからは、私の正直な感想を綴ります。
個人の感想なので、共感していただけないこともあるかと思いますが、ご容赦ください。
また、ネタバレや、ネタバレと感じられる内容が含まれていますので、ご注意ください。
実は、私が小説を読むことにハマったのは、この作品がきっかけでした。
大学卒業を控え、時間を持て余していたとき、たまたま友人から本作を借りたところ、面白すぎて驚いたのを覚えています。
ちなみに、社会人になってから読み直してみても、やっぱり面白かったです。
本作も、池井戸潤さんの作品の多くに当てはまる、主人公をどん底に落としてから、最後に大逆転をするという展開となっていますが、展開がわかっていても面白いんですよね。
その要因は色々あると思いますが、登場人物の良い意味でのクセもその1つだと思います。
本作においては、主人公の赤松の愚直さはもちろんのこと、赤松に救いの手を差し伸べるはるな銀行の面々の誠意などは、同じ社会人として、とても魅力的に感じます。
一方、悪役となるホープ自動車の三浦や、PTA会長の座を狙う片山も良い感じに憎らしくいてくれていますよね。
どんな規模のどんな組織でも、一番大事なのは人なんだということを教えてくれた気がします。
鍵となる沢田の心変わりも、人を疎かにした結果ですね。
しばらく経って記憶があやふやになってきたら、また読んでみたいなと思っています。