『告白/町田康』
今回は、町田康著「告白」です。
早速、簡単に紹介していきます。
1.作品情報
著 名:告白
著 者:町田康
出版社:中公文庫
発売日:2008/2/25 ※文庫本の初版発行日
頁 数:842ページ
こちらは、町田康さんによる「人はなぜ人を殺すのか」というテーマに迫った長編小説です。
第四十一回谷崎潤一郎賞を受賞しています。また、2006年の本屋大賞にもノミネートされていました。
2.あらすじ
人はなぜ人を殺すのか――。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。
「告白」裏表紙より引用
主人公、熊太郎の胸の内を通して、まるで熊太郎の人生を追体験するかのように、物語が展開していきます。
熊太郎の心情や思考には共感できる部分もあるかと思いますので、ぜひ読んでみてください。
ちなみに、「河内十人斬り」のことを知らなくても読める内容となっています(私は知りませんでした)。
3.こんな人におすすめ
- 人の心情や思考を追うことが好き
4.こんな人には向いていないかも?
- 長い小説が苦手
- クセのある文章が苦手
5.感想
ここからは、私の正直な感想を綴ります。
個人の感想なので、共感していただけないこともあるかと思いますが、ご容赦ください。
また、ネタバレや、ネタバレと感じられる内容が含まれていますので、ご注意ください。
正直、これは好き嫌いが分かれる小説だなと思いました。
私は、好きな部分もあれば苦手だなという部分もあり、五分五分でした。
熊太郎の心情や思考を通して、人の儚さみたいなものを感じ、読後感はよかったです。
熊太郎の最期、色々と思考してきたけど結局何もなかったというシーンはその最たるもので、「あかんかった」というシンプルなセリフも、その哀愁を強調していたように思います。
また、熊太郎が、自分はこんなにも色々と考えているのに村の人たちは何にも考えていないと嘆くシーンも印象に残りました。
仕事で、上司に同じようなことを思ったりしませんか?笑
こんな感じで、熊太郎の心情や思考に共感できる部分もあり、それを生々しく表現してくれているところも、読者を惹きつける理由の1つなのかもしれません。
一方で、文章のクセとボリュームが気になり、途中で離脱しかけました。
ラストシーンがぐっとくるのは、熊太郎の幼いころからの心理描写があってこそで、河内弁がそれを引き立てているのもわかるのですが、正直、私には読みづらかったです。
そもそも、人の感情や思考の経路をたどることって、結構大変だと思っているのですが、文章のクセで大変さが増しているように思いました。
人によって評価が分かれそうな本作、みなさまはいかがでしょうか?
以上、『告白/町田康』の紹介と感想でした。