『ドミノ/恩田陸』
今回は、恩田陸著「ドミノ」です。
早速、簡単に紹介していきます。
1.作品情報
著 名:ドミノ
著 者:恩田陸
出版社:角川文庫
発売日:2004/1/25 ※文庫本の初版発行日
頁 数:376ページ
こちらは、東京駅を舞台に、28人の登場人物がドミノ倒しのように絡み合っていくお話です。
28人も登場人物がいるなんて、話についていけなさそうと思われるかもしれませんが、登場人物とそれぞれのストーリーがきちんと描き分けられていて、私はストレスなく読むことができました。
2.あらすじ
1億円の契約書を待つ締め切り直前のオフィス、下剤を盛られた子役、別れを画策する青年実業家、待ち合わせ場所に行き着けない老人、警察のOBたち、それに……。真夏の東京駅、28人の登場人物はそれぞれに、何かが起きるのを待っていた。迫りくるタイムリミット、もつれあう人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが倒れてゆく!抱腹絶倒、スピード感溢れるパニックコメディの大傑作!!
「ドミノ」裏表紙より引用
登場人物が28人いるということもあり、細かく場面転換しながら話が進んでいきます。
バラバラで関係ないはずの人たちがどう絡み合っていくのか、どういう結末を迎えるのかが、見どころです。
ジェットコースターのような読後感を味わいたい方は、ぜひ読んでみてください。
東京駅に行ったことがない方は、駅の様子をストリートビューなどで確認しておくと、より楽しめるかもしれません。
3.こんな人におすすめ
- 伏線が回収されるような話が好き
- スピード感がある小説が好き
4.こんな人には向いていないかも?
- 現実離れした話が苦手
5.感想
ここからは、私の正直な感想を綴ります。
個人の感想なので、共感していただけないこともあるかと思いますが、ご容赦ください。
また、ネタバレや、ネタバレと感じられる内容が含まれていますので、ご注意ください。
名前の通り、まさにドミノが倒れていくような疾走感を味わうことができました。
正直、裏表紙にあるように「抱腹絶倒」とまではいきませんでしたが、各登場人物のキャラやエピソードも面白おかしく描かれていて、最後まで飽きずに読めました。
こんなにも多くの登場人物を、主人公を決めずに描いた小説って珍しいですよね。
少し飛躍してしまいますが、どんな人にもかけがえのない過去があるのだということに、私は思い至りました。
本作をきっかけに、人に会うときに、この人はこれまでどんな人生を歩んできたんだろうと、想像するようにもなりました。
その人の子ども時代を想像すると、なんだか微笑ましくなり、いつもより優しく接しようと思えます。
また、自分の人生を振り返ってみて、あのとき別の選択肢を選んでいたら、今とは全く別の人生になっていたんだろうなと思うことってありませんか?
本作はエンタメ小説なので、現実には起こりえないようなシーンも多々ありますが、自分の人生にも、運命のドミノが倒れていくシーンがあったのかも、あるいは、これからあるのかもなんて、私は思ってしまいました。
この記事を執筆中の今、『ドミノin上海』が積読になっているので、読むのが楽しみです。
以上、『ドミノ/恩田陸』の紹介と感想でした。