『傲慢と善良/辻村深月』
今回は、辻村深月著「傲慢と善良」です。
早速、簡単に紹介していきます。
1.作品情報
著 名:傲慢と善良
著 者:辻村深月
出版社:朝日文庫
発売日:2022/9/30 ※文庫本の初版発行日
頁 数:493ページ
こちらは、『かがみの孤城』で2018年に本屋大賞を受賞した辻村深月さんによる恋愛ミステリ小説です。
恋愛だけでなく、現代を生きることの難しさについても描かれている作品です。
なお、本作は第7回ブクログ大賞(小説部門)を受賞しています。
2.あらすじ
婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる――。彼女は、なぜ姿を消したのか。浮かび上がる現代社会の生きづらさの根源。圧倒的な支持を集めた恋愛ミステリの傑作が、遂に文庫化。
「傲慢と善良」裏表紙より引用
真実が行方をくらますところから物語が展開していきます。
真実はなぜ姿を消したのか、現代社会の生きづらさの根源とは何なのかが、見どころです。
人の内面にこれでもかというくらい迫っているところも圧巻で、きっと心に刺さる言葉が見つかると思いますので、ぜひ読んでみてください。
3.こんな人におすすめ
- 恋愛ミステリが好き
- 人の内面に迫った話が好き
4.こんな人には向いていないかも?
- 重い話が苦手
5.感想
ここからは、私の正直な感想を綴ります。
個人の感想なので、共感していただけないこともあるかと思いますが、ご容赦ください。
また、ネタバレや、ネタバレと感じられる内容が含まれていますので、ご注意ください。
本作を読んでいるときに刺さっていたものが、朝井リョウさんの解説でさらに奥深くまで刺さっていきました。
何か・誰かを選ぶとき、それは対象や相手を選んでいるようで、実は自分の価値を客観的に測っているのだという見解には、多くの人がドキッとしたのではないでしょうか。
本作は、恋愛や婚活が主題となっていますが、この見解は日常生活のありとあらゆる場面に当てはまりそうですね。
私はいわゆる婚活というものをすることなく結婚したのですが、本作を読んで、自分には婚活は無理だなと思ってしまいました。
多くの人と会って、初めは当たり障りのない定型的なやり取りをして・・・みたいなことも苦手なのですが、それよりも、本作を読み終わった今は、無自覚だった自分の傲慢さを意識してしまったので、その傲慢さを排除しようとして自分の意思がなくなってしまう気がします。
そして、朝井リョウさんの解説にあるように、自分の意思というけども、それは本当に自分の意思なのか・・・という答えのない問いにハマっていくと思います。
歳を取ったら、また別の何かが刺さってくるかもしれませんので、いつか改めて読んでみたいと思います。
以上、『傲慢と善良/辻村深月』の紹介と感想でした。